植物界のパンダ、ハンカチノキ

ハンカチノキ(ハンカチの木)というなんともストレートな名前の木をご存知でしょうか?

中国の雲南・四川省周辺の標高1,500m〜2,200mに分布し、このハンカチノキだけで1属1種を構成する大変珍しい木です。

ハンカチノキとジャイアントパンダの発見者が同じ人物であることや珍しさも相まって「植物界のパンダ」と呼ばれることもあります。

また、出土した化石から5800万年前(恐竜の絶滅後、恐鳥類が登場した頃)には存在していたとされ「生きた化石」ともされています。ちなみに生きた化石仲間のメタセコイヤと共に、日本でも化石が出ているようです。

 

名前の由来になっている白いひらひらとしたものは苞(ほう)と呼ばれる葉が変形したもので、苞に守られている球体部分が花になります。苞の開き始めの色は白くなく、1週間ほどかけて白く大きくなっていきます。

 

実はそんなハンカチノキが野草園入口に植栽してあります。

なぜ「高尾山の野草が楽しめる」野草園に植わっているのかというと、長年アドバイザーを務めてくださっていた菱山忠三郎先生より苗を寄贈していただいたため、とのことです。

 

いただいてからざっと10年ほどとなるらしく、植栽当初を知る方々は「まだ咲かないのか…まだ咲かないのか…」と気を揉んでいましたが、今年になって突然開花したのでスタッフ一同はちょっとしたお祭り騒ぎとなりました。

現在は始めに開花した花が見ごろを迎えており、次々と後続の花が出てきているので5月半ばまでは見ごろが続くのではないかと思われます。

花粉を目当てにしたハエなどに受粉をしてもらう虫媒花であり独特の香りを放つそうなのですが、本稿執筆時点ではまだわかるほど香っていません。

一度咲いたからといって翌年も咲くとは限らないらしいので、もし興味を持っていただけたようであれば是非おいでください。